※テープ・マンスリーでは1974年5月号に新譜表記。
欧陽菲菲と朱里エイコの曲が2曲づつ交互に収録されているカップリング・アルバム。カセットテープと8トラが同時に発売されている。
今では当たり前になっている感もあるが、レコード会社の枠を超えたオムニバス作品はLPレコードという形では滅多に見られない。インスト盤はたくさん発売されているが、こういったものや"最新ヒット歌謡"的な商品はアポロンのテープ企画ならでは。
1973年12月に発売されたシングルA面曲。曲の一部に「恋の追跡」を彷彿とさせるところがあるが、どちらも橋本・筒美コンビによる作品なので当然。
「こんな私に誰がした~♪」というフレーズの凄みっぷりが聴きどころか。歌詞・曲・楽器構成が王道な70年代歌謡曲である。
欧陽菲菲の初期のシングルはMEG-CDで復刻され、2012年の9月から一斉に発売されている。販売端末のある場所ではその場でオンデマンド式に入手できるようになっている。
1973年8月に発売されたシングルA面曲。橋本・筒美コンビによる作品で、たどたどしい日本語と、流暢な英語のコントラストが面白い。
ことごとくどこかで耳にした事のある筒美フレーズ満載の楽曲だが、終始バックで目まぐるしく飛び回っているベースのおそるべき疾走感がたまらない曲である。
1971年9月に発売された欧陽菲菲の日本でのデビュー曲で、日本にエレキブームを巻き起こしたベンチャーズが作曲したことで話題になった作品。ベンチャーズのインスト版「Stranger In Midosuji」も同じ日に発売されている。
100万枚を超えるセールスを記録し大ヒット曲となり、第13回日本レコード大賞(1971年)で新人賞を受賞した。翌1972年に初めて出場した紅白歌合戦ではこの曲ではなく、同年のヒット曲「恋の追跡」が歌われている。
ベンチャーズといえば、独特のテケテケテケ~というようなグリッサンド奏法(クロマティック・ランというらしい)が印象的。
アメリカ本国よりも日本での人気が飛びぬけて高かったせいもあって、日本向けに多数の楽曲を作曲しており、渚ゆう子のヒット曲「京都の恋」「京都慕情」や欧陽菲菲の「雨の御堂筋」が代表曲である。これらはベンチャーズ歌謡と呼ばれており、アレンジはレコード会社に拘わらずほぼ一貫して川口真が担当した。
小糠雨とは、霧雨のように煙っているような音もなく降る細かな雨。傘もささずというフレーズにかかって"あなた"の影を追って御堂筋を彷徨う女心を際立たせている。
1971年12月に発売された第2弾シングル。タイトルも楽曲も大ヒットした前作を踏襲した作品になっている。
展開部分のキッカケだけを聞くと伊東ゆかりの「誰も知らない」につながっていきそうな雰囲気……と思ったら、これも筒美作品であった。
台湾では「雨中旅程」というタイトルで歌われている。
ジャケット後方では、2011年に復活した鶴丸が燦然と輝いている。ちなみに「ジェット最終便」のカセット版ジャケットの飛行機は全日空の機体で、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いたヘリコプターの図案を使った懐かしいロゴを見ることができる。
1972年8月に発売された4枚目のシングルA面曲。
歌い出しの「希望と言う名の~♪」というフレーズと汽車というモチーフが岸洋子のヒット曲「希望」(1970年)と被るが内容はだいぶ違う。内容まで一緒だったら大変だが。
イントロからワウギターのカッティングが小気味良く、「恋は燃えて」のベースの存在感ほどではないが全編バックで活躍しているのが特徴。このファンキーなギターがなければ汽車のイメージが省かれたのっぺりした惚れた腫れた歌謡になっていただろう。ギターがカットされているバージョンの歌唱もある。
1972年12月に発売された5枚目のシングルで、雨シリーズの第3弾。
これまでの曲と比べてテンポを落とし、ホーンセクションの太いサウンドを前面に出した、ブラス・ロック的な曲。単にブラックなR&Bというわけではなく、テンポの変わるつなぎの部分とBメロはしっかり筒美歌謡らしい雰囲気になっている。
三谷謙(五木ひろしの旧芸名)の「雨のヨコハマ」(1969年)とは別物。
収録曲順について。
8トラ版の収録構成は色分けで順に1ch・2ch・3ch・4ch。
カセットテープ版は8トラ版と曲順が異なり、A面が8トラ版の1ch+3ch(黄色)、B面が2ch+4ch(オレンジ色)という変則的な構成になっている。