※初期と後期のロットでジャケットデザインが変わっている。紙質も変わっていて、初期のものは裏面がザラっとしているが、後期のものは表面と同じ質感になっている。いつ変更されたのかは判らないが、右下の名前がチェイサーのCMで使われているロゴに変わっているところから、CMの開始時期辺りに関係がありそうだ。参考までに手元にある盤のスタンパーの刻印は以下の通り。
初期盤…1-A-7(L-245R-1)、1-A-4(L-245R-2)
初期盤…1-A-10(L-245R-1)、1-A-10(L-245R-2)
後期盤…1-A-28(L-245R-1)、1-A-22(L-245R-2)
→MEG-CD版「SAMURAI NIPPON/サムライ・ニッポン」
新曲のキャンペーンは六本木のディスコで。同時にダンスコンテストも開催した。
両面とも同じ曲で、A面に英語版、B面には日本語版という、ヘドバとダビデの「ナオミの夢」のような構成のシングル。朱里エイコのシングルとしては初めてのパターンである。
1978年7月、本国アメリカでの公開に遅れること半年、映画「Saturday Night Fever」の大ヒットで日本でも社会現象と言われるほどのディスコブームが巻き起こる。楽曲は、猫も杓子もカサブランカ・レコードの楽曲のようなファンクやディスコ的なアレンジが施され、三橋美智也ほどの大御所歌手までもがディスコ調の曲を発売するほどであった。
このディスコブームに乗って作られたのがこの「サムライ・ニッポン」である。ディスコ歌謡ということでキャンペーンが六本木のディスコで行われたりと、趣向を凝らして売りだされた。
結果、レコード売上5万枚という「ジョーのダイヤモンド」に続くヒット曲となった。
この曲は草刈正雄が出演したTOYOTA チェイサーのCMに使用された。よく聴くと間奏では「チェイサー、チェイサー」とスキャットしているのがわかる。
――近頃まれなもの 男らしい男 車らしい車
と、大映ドラマのオープニングやモノローグなどで独特の声と節回しが有名な来宮良子がキャッチコピーをナレーションした。
作曲のPeter Stoneとは大野雄二のペンネームである。
同様の雰囲気の作品を多数発表しており、大野節と言えるぐらい独特の印象がある。中でも特に有名なのが「ルパン三世のテーマ」(1977年)で、アニメ『ルパン三世』の第2シリーズから使用された。当初はインストゥルメンタルだったが、シリーズ途中から歌詞を一般公募し、藤原喜久男(クレジットはPete Mac, Jr.)が歌った。
また、1982年から始まったTVアニメ「スペースコブラ」の主題歌も同様の雰囲気の大野作品。これを歌ったのはペドロ&カプリシャスの元ボーカル・前野曜子である。
タイトルの「サムライ・ニッポン」というフレーズに少なからず影響を与えているのは、1931年に発表された桜田門外の変を題材にした郡司次郎正の小説『侍ニッポン』である。同年には日活から大河内傳次郎・梅村蓉子主演で映画化され、バリトン歌手である徳山璉(たまき)が歌った主題歌はその年を代表する大ヒット曲となった。以降再三にわたり映画化されている作品である。
1984年にはシブがき隊が同名のシングルを発売。2010年には瀬川瑛子が「GO!GO!侍ニッポン~私も輝きます~」というダンスミュージックを発売している。インディーズでは、2004年にはAKETA・シューリヒト・オカリーナ・アンサンブルというグループがオカリナを使ったモダンジャズ「サムライ・ニッポン・ブルース」を発表。2005年には侍ダイナマイツと言うバンドが同名のアルバムを発売している。他にも探せば色々な"サムライ・ニッポン"があるかもしれない。
ところで、ジャケットはどう見てもイラストだが、クレジットにある撮影とは何の撮影だろうか、イラストの元になったスチール写真があるのだろうか。
JASRACには「WE WANT YOUR LOVE, SAMURAI」というタイトルでも登録されている。
TOYOTA チェイサーのCMにはこちらの英語版が使用された。
翌々月に当たる1978年12月発売のアルバム「NICE TO BE SINGING」では目玉曲として1曲目に収録されている。一方で、同アルバムの韓国盤ではあからさまに日本と判るタイトルのため「ジョーのダイヤモンド」の英語版に差し替えられてしまった曲でもある(当時の韓国では日本文化の流入を禁止していた)。
作詞を担当したMarco Brunoは、1965年に初来日したオーストリア出身のアーティストで、作詞、小説、翻訳、写真など多分野で活躍。また、最近では動物愛護支援の会を主宰しペット関連の著書を多数出版している。
当初はCM音楽などを製作していたようだが、有名なのはサンディ・オニール(サンディー、サンドラ・ホーン名義でも活動している)が歌った「ミステリー・ナイル」あたりか。これは、アガサ・クリスティの「Death on the Nile(邦題:ナイルに死す)」を原作とするピーター・ユスティノフ主演の大ヒット映画『ナイル殺人事件』(1978年)のイメージソングである。日本での劇場公開分ではニノ・ロータ作曲のエンディング曲から差し替えて使われた。
Marco Brunoと大野雄二のコンビ作といえば、実力派シンガーである宮本典子のサード・アルバム「RUSH」に収録されている「Somewhere Someone」が名曲。Grover Washington, Jr.の楽曲なんかが聞こえてきそうな頽廃的で都会的で、それでいてロマンティックな作品である。
補作詞のクレジットには朱里エイコ自身とともにバーバラと言う女性の名前が挙がっている。この女性については一切判っていない、当時のバンドメンバーかなんかだろうか。
テレビ番組で外国人ダンサー4人を従えて日本語版を熱唱。
「SAMURAI NIPPON」の日本語版である。音楽番組ではこのバージョンが歌われていたようだ。
曲と歌詞がしっくりきて完成されてしまっている英語バージョンに対して、このメロディーに日本語詞を当てるのは相当に苦労したのではないかと思われる。
作詞を担当した麻生香太郎は、森進一の「新宿みなと町」や小林幸子の「春待ちれんげ草」が有名だろうか。他に、「南南西」(高田みづえ・秋川淳子・島崎和歌子)、「花車」(小柳ルミ子)、「たんぽぽ畑でつかまえて」(スターボー)など。また、SEYMOUR名義で中森明菜やTM NETWORKに作品を書いたことでも知られている。