1970年1月に武者修行のため長期渡米することになった朱里エイコのキングレコードでの最後のシングル。
ジャケットデザインから推測するに両A面ということだろうか。どちらもCMソングの作曲で有名なはやし・こばの作曲となっている。
はやし・こばは、「ミスタードーナツ」の"いいことあるぞ、ミスタードーナツ♪"や「タンスにゴン」などの特徴的なジングルを作ったことで有名。全日本CM協議会が開催するACC CM FESTIVALでACC賞を何度も受賞している。
この頃のはやし・こばは、三木鶏郎のもとでCMなどの作曲活動をしており、同じ時期に作った「S&Bメキシカンカレー」のCMは朱里エイコが歌った。「はやし・こば CM WORKS」でその陽気なメロディーを聴くことができる。
販促チラシには何かと舞台で共演したザ・キャラクターズの新曲も。型番・タイトル共に誤植という素晴らしいクオリティ。
ひょっとしたらB面曲の当初のタイトルは「沈む夕陽は止められない」だったのだろうか。よく見ると最後の「の」だけが付け加えられた感じになっている……気がする。
ジャズ畑の出身であるはやし・こばによるお洒落な曲。フルートの伴奏がかわいらしい。
何か吹っ切れたところがあるのだろうか、シングル曲ではしばらくご無沙汰だったパンチ歌唱があちこちで聴ける。
エンディングの軽快なスキャットも聴きどころである。
なんとも大仰なストリングスによるオープニングの曲。
こういった曲調はなんと表現すればいいのだろうか、ピカレスク・ドラマやマカロニ・ウェスタンのテーマ曲にありそうな雰囲気の曲である。
GS時代の大げさな曲といえば、メジャーでもマイナーでも唐突で壮大なエンディング"ジャーン"……と打ち切りになったドラマの最終回みたいなものが多いイメージだが、これは曲的には完成したドラマのようだ。セカンド・シングルの「ジ・エンド・オブ・ラブ」に通じるものがある。
キングレコードの目録ではキューティー・Qが「今夜だけの二人」というシングルのB面でこの曲を歌っていることになっている。
TOP-718「今夜だけの二人」のカップリングは「浮気なダーリン」のようだ。こんなマイナーな曲(失礼!!)で競作かと、発見した瞬間は世紀の大発見と目を疑ったが、ただのミスプリントだろう。
この音源について。
シングル「恋のブラックカード/沈む夕陽は止められないの」とこの音源を収録しているCD「朱里エイコ★イエ・イエ レイト60's東京モッド・ガール・コレクション(2)」は国会図書館の新館1階にある音楽・映像資料室で聴くことができます。資料の利用には許可申請が必要です。CDは廃盤になっていますが、AmazonやYahoo!オークションなどで比較的簡単に入手できます。