新曲発売を記念して新宿サブナードでサイン会を開く。
これがワーナー・パイオニア最後のシングルとなった。
「愛は旅びと」の作曲はヘンリー・マンシーニが担当。キングレコード時代には、アンディ・ウィリアムスの来日公演で共演していた彼と同じ舞台に立つなど、少なからず縁のあった音楽家である。また、ポール・アンカの場合と同様、アルバムやライブ等でヘンリー・マンシーニの曲を多数カバーしていた。
CDで聴ける朱里エイコの音源と言えば、長らくカセットテープだけで発売されていたベスト盤をCD化した「朱里エイコ 全曲集」のみだった。この1曲目と2曲目がまさに本作の「愛は旅びと」と「Everytime 愛」で、このCDで初めて朱里エイコに触れた人にとっては印象の強い曲なのではないだろうか。
歌詞はアルバム「パーティー~華やかなるつどい」で作詞を担当した八坂裕子。愛に燃える女の激情を見事に表現した。
作曲には映画音楽などで世界的に有名なヘンリー・マンシーニを起用。アレンジは前作に引き続き梅垣達志が担当した。
ヘンリー・マンシーニは、グレン・ミラー楽団でピアニストとして活躍した後、映画音楽に携わり、数え切れないほどの名曲を世に送り出した作曲家だ。
映画ではオードリー・ヘップバーンの『ティファニーで朝食』『シャレード』『暗くなるまで待って』、ジャック・レモンの『酒とバラの日々』、ソフィア・ローレンの『ひまわり』、舞台化もされたジュリー・アンドリュースの『ビクター/ビクトリア』、TVシリーズでは『刑事コロンボ』『ピーター・ガン』『ピンク・パンサー』などが特に有名だろう。
JASRACでは「I Love Lotte」というタイトルでも登録されている。Copyright Encyclopediaというサイトでは、作詞・作曲はHenry Mancini、Musical work、1978/10/10登録という情報が掲載されている。
作詞・作曲は朱里エイコ自身の手によるもので、前作「窓あかり」と共に朱里エイコの隠れた名曲である。
前年に離婚を経験した彼女が歌う魂の叫びは、説得力を持って聴くものの心を打つ愛の歌となった。
本人の望んだ形だったかどうかは今となってはわからないが、歌手として人間として成長したいと予てから口にしていた彼女の一つの到達点と言ってよいだろう。
アレンジを担当した栗原三行について詳しいことは判らないが、渥美二郎や香西かおりの楽曲の編曲に名前を見ることができる。