レコードのセンターホールはアダプタが不要なタイプ。
ビクターのレコードスリーブ
このレコードは、盤のラベルにA面B面の表記が無いので、両A面のシングルということになるだろうか。
ジャケット表面・裏面のレイアウトを見る限り「三人三羽」が一応A面のように見えるが、個別の型番では「だれだって一人じゃない」のほうが若い番号になっている。
歌手の格にそれほど差のない場合の、異なるアーティストのカップリングの際の配慮だろうか(この場合はどう見てもいしだあゆみのほうの知名度が先行している)。
両面とも開局したばかりの東京12チャンネル(現・テレビ東京)のテレビ番組の主題歌である。作曲を担当したいずみたくの愛弟子である田辺エイコといしだあゆみの2人がそれぞれの曲を歌った。
いしだあゆみは石田良子と名乗っていた雑誌KODAMAより1年、朱(あけ)あゆみという芸名の候補があったそうだが、結局いしだあゆみという芸名で1964年4月にデビューシングルを出している。
発売された正確な日付は判明していないが、「ラッキー・セブン/ブルー・ポニー」と同時発売されたものだろうか。ちなみにジャケットを見ると、「ラッキー・セブン/ブルー・ポニー」のジャケットでは田辺エイ子となっているのに対し、こちらは田辺エイコと表記されている。
ビクターの昭和40年度版目録では、どちらも"田辺エイコ"という表記になっている。
陽気な行進曲のような曲調になっている。また、キラキラしたハーモニカの音とアコーディオンのリード音や、古めかしいサックスの音やピッコロのオブリガードが印象的。
歌詞中に出てくる三羽の鳥(アヒルと鳩とカラス)の「ガアガアガア、クックックッ」という鳥の鳴き声は別の人の声。かわいらしい声優さんの声のようだが、盤のラベルによると「三羽コーラス」という人たちのようだ。
三人三羽について
東京12チャンネルで放送されたテレビ映画である。
純粋に自然を愛し、その自然のなかで愛する動物たちと暮らす遠い離れ島の子供たちの姿を描く。
脚本:大石隆一、演出:金子精吾、出演:高橋レイ子・佐藤公明・武内文平・桜井良子(来宮良子)
(1964/4/15 18:30-19:00) →参考サイト「テレビドラマデータベース」
ジャケット裏面の歌詞の最後の一行「楽しい夢を歌ってる」がミスプリントで抜けているが、それはご愛嬌。
2019年9月発売の「ビクターアイドル情熱レアトラックス<1960年代+α>」に「ブルー・ポニー」と共に収録された。
レーベルの枠を越えた初のオールタイム・ベストとして2015年発売の「リトル・ダイナマイト ベスト・オブ・朱里エイコ」でも割愛されたビクター時代の作品がCD化されるというのは快挙である。
いしだあゆみが歌うテレビドラマ『ハローCQ』の主題歌。
歌詞は『アンパンマン』で大ヒットする以前、漫画家・放送作家・作詞家をメインに活動していたやなせたかし、2013年の10月に94歳で亡くなった。
やなせたかしといずみたくのコンビは「手のひらを太陽に」(宮城まり子、1961年)が有名。宮城まり子といえば、母・朱里みさをの愛人(宮城秀雄)の姉である。
ハローCQについて
東京12チャンネル(現・テレビ東京)の開局記念として作られ、主人公の中学生がアマチュア無線を通して成長していくという1話完結のドラマシリーズ。
脚本:やなせたかし・向田邦子ほか、監督:羽仁進、助監督:山本晋也、蜷川幸雄・柳家小せん・荒木一郎や駆け出しの頃の風間杜夫などが出演しているという、今から見ると破格の豪華さ。
→参考サイト「テレビドラマデータベース」右上の画像はオープニングの画面だろうか。
どこかで見たことある……と既視感にとらわれていたのだが、それは『ひょっこりひょうたん島(作・井上ひさし、山元護久)』のオープニングの1場面だった。が、似てるのは太陽だけだった。
『ひょっこりひょうたん島』は同じ年の1964年から5年に亘ってNHKで放送された国民的人形劇。平成に入ってからNHK衛星第2と試験放送中のハイビジョン放送で5シリーズのリメイクと1本の新作が放送された。
▼この音源について。
このレコードは国会図書館の新館1階にある音楽・映像資料室で聴くことができます。資料の利用には許可申請が必要です。